人やその他生き物を撮るときに顔というのは判りやすいが、いろんなモノについても顔がある。今回、講習をしながら実際に撮ってみたのは大和ミュージアム。ここでは建物の顔だ。この建物に顔についていろんな話をしつつ撮り比べをしていった。
まずはエントランス側。
ガラス張りのエントランスはぱっと見は綺麗だが、そこに感じるのは違和感。まず掲示物のデザインや貼り方が建物に合っていない感じを受ける。出入り口のすぐ左側に見える白い展示ボードは、館内で写真販売のために置かれていたもの。外から見ると明らかに景観を壊している。せめてこの展示ボードの背面は黒色にするべきでしょうね。
そして美しいはずのガラス張り。だがそこに映っているものは美しくない。建築のデザインには街のデザインが必要だと感じることが多い。
要はこれらによってすっきりとした印象を持つエントランス部分が、全体的にごちゃごちゃしているのだ。
こんなデザインの建物だったという記録であればいいが、例えばそれが使える写真かと言えば使えない。今回の講習ではそういうことを重視した内容なので、とことん気を配る。
この建物は大きいけど建物を全て入れた写真では小さく見える。大きさを感じる写真には写真の枠からはみ出させることでその大きさが表現できることもある。そしてエントランス側から感じられたシャープな直線美を活かす構図として、今回は床に敷き詰められたレンガパターンや案内板を含めて構図を決めていった。
案配板と建物にはかなりの距離があるがボケは必要がないのでF値は高めに設定。あとはいつシャッターを切るかだが、大事なのはここでもガラスに映っているものをちゃんと視ること。そこに自動車が映り込んでいるのではいけない。ちょっとタイミングを合わせれば、自動車は映り込まないのだ。
この時は天候と時間帯は良くないので大和ミュージアムの最高な写真が撮れるわけではないが、それでもこうした様々なことを考慮して撮るというのは活かせる写真、使える写真のためには必要なことなのだ。